○松川村男女共同参画推進条例

平成17年3月10日

条例第2号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 男女共同参画社会推進計画等(第9条―第12条)

第3章 村の基本的施策(第13条―第20条)

第4章 相談・苦情の申出等(第21条)

第5章 松川村男女共同参画審議会(第22条―第29条)

第6章 補則(第30条)

附則

(前文)

私たちの松川村は,先人たちの汗と努力により水と緑が守られ,日本のふるさと安曇野の松川村として広くその名が知られている。

また,社会情勢の影響を受けつつも,農業,商工業ともに安定して発展を続け,観光面でも注目されるようになってきた。

近年においては,社会経済が大きく変動し,当村においても性別や立場を超えたすべての村民が,自ら考え,決定し,責任を負う村づくり,地域づくりを一層進めることが必要になってきている。

もとより,日本国憲法には,個人の尊重と法の下の平等が明記されており,国連における女子差別撤廃条約(1979年)や,国内法である男女雇用機会均等法(1985年),男女共同参画社会基本法(1999年)等のもとで,各方面の男女平等,男女共同参画が我国の将来を左右する重要な課題として取り組まれている。

このような現状を踏まえ,村民一人ひとりの人権が尊重され,性別によって制約されることなく,自由に個性と能力を発揮させることができる松川村,だれもが平等かつ適正に評価され,喜びも責任も分かち合える松川村を村と村民,事業者等が協働して実現することを目指して,この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,男女共同参画の推進に関し,基本理念を定め,並びに村,村民及び事業者等の責務を明らかにするとともに,施策の基本となる事項を定め,総合的かつ計画的に推進することにより,松川村における男女共同参画社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 「男女共同参画」 男女が,社会の対等な構成員として,自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され,もって男女が均等に政治的,経済的,社会的及び文化的利益を享受することができ,かつ,共に責任を担うことをいう。

(2) 「積極的改善措置」 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するために,必要な範囲内において,男女のいずれか一方に対し,当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) 「事業者等」 公的機関であるか民間組織であるかを問わず,また,その事業活動が営利を目的とするか否かを問わず,村内において事業活動を展開するものをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画の推進は,次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。

(1) 「男女の人権の尊重」 男女の個人としての尊厳を大切にし,直接的であるか間接的であるかを問わず男女が性別による差別的取扱いを受けないこと,また,男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること等,男女の人権が尊重されること。

(2) 「社会における制度又は慣行についての配慮」 社会における制度又は慣行が,男女の社会における自由な活動に対して及ぼす影響を中立的にするように配慮されること。

(3) 「政策・方針の立案及び決定への共同参画」 男女が,社会の対等な構成員として,村その他あらゆる場における政策又は方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) 「家庭生活における活動と他の活動の両立」 家族を構成する男女が,相互の協力と社会の支援の下に,子の養育,家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし,かつ,職業生活における活動その他の活動を行うことができるよう配慮されること。

(5) 「生涯にわたる性と生殖に関する健康と権利」 生涯にわたる性並びに妊娠及び出産を含む生殖に関し,男女が互いの意思を尊重し,健康な生活を営む権利が尊重されること。

(6) 「国際社会の動向を踏まえた取組」 男女共同参画の推進は,国際社会における取組と密接な関係を有しているので,国際社会の動向を踏まえること。

(村の責務)

第4条 村は,前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づいて,男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し,実施しなければならない。

2 村は,前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては,村民,事業者等及びその他関係機関と連携を図るよう努めなければならない。

(村民の責務)

第5条 村民は,家庭,職場,学校,地域その他の社会のあらゆる分野において,基本理念に基づき,自ら積極的に男女共同参画を推進するとともに,村が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者等の責務)

第6条 事業者等は,基本理念に基づき,男女が共同してその事業活動に参画することができる体制及び職業生活における活動と家庭生活その他の活動とを両立して行うことができる職場環境を整備するよう努めるとともに,村が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(性別による人権侵害の禁止)

第7条 何人も,家庭,職場,学校,地域その他の社会のあらゆる分野において,直接的であるか間接的であるかを問わず,次に掲げる行為を行ってはならない。

(1) 性別を理由とした差別的取扱い

(2) ドメスティック・バイオレンス(配偶者等身近な相手に対して身体的又は精神的に苦痛を与える暴力的行為をいう。)その他の男女間における身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為

(3) セクシュアル・ハラスメント(性的な言動により個人の生活環境を害する行為又は性的な言動を受けた個人の対応により当該個人に不利益を与える行為をいう。)

(情報に関する留意)

第8条 何人も,広告,ポスター等公衆に表示する情報において,次に掲げる表現をしないよう努めるものとする。

(1) 性別による固定的な役割分担及び男女間の暴力等を助長し,又は連想させる表現

(2) 過度の性的な表現

第2章 男女共同参画社会推進計画等

(男女共同参画社会推進計画)

第9条 村長は,男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「男女共同参画社会推進計画」という。)を策定しなければならない。

2 村長は,男女共同参画社会推進計画を策定するに当たっては,村民及び事業者等の意見を反映させるための必要な措置を講ずるとともに,松川村男女共同参画審議会の意見が反映されるよう努めなければならない。

3 村長は,第1項の施策の策定に係る調査研究のため,必要があると認める場合は,事業者等の協力を得た上でその事業活動における男女共同参画の状況について,報告を求めることができる。

4 村長は,男女共同参画社会推進計画を定めたときは,これを公表しなければならない。

(施策の策定に当たっての配慮)

第10条 村は,あらゆる施策の策定と実施に当たって,男女共同参画の推進に配慮するものとする。

(施策の実施状況の公表)

第11条 村長は,男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について,その概要を公表するものとする。

(推進体制の整備)

第12条 村は,男女共同参画を主要な政策として位置付けるとともに,男女共同参画の推進に関する施策を総合的に企画し,調整し,及び実施するために必要な体制を整備するものとする。

第3章 村の基本的施策

(広報活動の充実)

第13条 村は,基本理念に関する村民及び事業者等の理解を深めるため,男女共同参画の推進に関する広報活動の充実その他の措置を講ずるものとする。

(教育と学習の充実)

第14条 村は,学校教育及びその他のあらゆる教育と学習の場において,男女共同参画に関わる教育と学習の充実を図り,男女平等観の形成に努めるものとする。

(家庭生活における活動と他の活動の両立)

第15条 村は,男女が家庭生活における活動と職業活動及びその他の活動を両立することができるように必要な支援を行うよう努めるものとする。

(男女の労働に対する配慮)

第16条 村は,男女共同参画の推進における労働の果たす役割の重要性にかんがみ,積極的改善措置,男女雇用機会均等法等の周知と普及に努め,あらゆる労働の場で男女の均等な機会と平等な待遇(母性保護を除く。)を実現するよう,事業者等に働きかけるよう努めるものとする。

(自営業における環境整備)

第17条 村は,自営業に従事する男女が,共に責任を担い,その個性と能力を十分に発揮して,男女が対等な立場で方針の立案及び決定に参画する機会が確保されるための環境整備に努めるものとする。

(調査研究の推進)

第18条 村は,村民及び事業者等を対象に,男女共同参画の推進に必要な調査研究を進めるものとする。

(村民及び事業者等に対する支援)

第19条 村は,村民及び事業者等が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため,情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(委員等の構成)

第20条 村は,付属機関の委員等について,男女の数に配慮した構成に努めるものとする。

第4章 相談・苦情の申出等

(相談・苦情の申出等)

第21条 村長は,次に掲げる相談又は苦情があった場合は,速やかに状況を調査し,必要に応じて関係機関等と連携して適切な対策を講ずるものとする。

(1) 性別による差別等,男女共同参画を阻害すると認められる要因によって人権が侵害された場合

(2) 村が実施する男女共同参画の推進に関する施策,若しくは男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に対する苦情

2 村民及び村内に在勤,在職するものは,前項に係る苦情等がある場合は,村長に対し,その旨を申出ることができる。

3 村長は,第2項の申し出があった場合に,その内容を検討し,申出者に対しその結果及び理由を書面により通知するものとする。

4 村長は,必要があると認めるときは,松川村男女共同参画審議会の意見を聴くことができる。

第5章 松川村男女共同参画審議会

(設置)

第22条 男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進する上で必要な事項を調査審議するため,松川村男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

(任務)

第23条 審議会は,次に掲げる事項について,村長の諮問に応じて調査審議するものとする。

(1) 男女共同参画計画の策定及び変更に関する事項

(2) 男女共同参画の推進のための施策に関する事項

(3) 男女共同参画の推進のための実施状況に関する事項

(4) その他男女共同参画の推進に関する重要事項

(組織)

第24条 審議会は,委員10人以内で組織し,男女のいずれか一方が10分の4未満であってはならない。

2 委員は,村内各団体の推薦する者,学識経験者,及び公募の中から村長が委嘱する。

(任期)

第25条 委員の任期は,2年とする。ただし,補欠委員の任期は,前任者の残任期間とする。

(会長及び副会長)

第26条 審議会に会長及び副会長を置き,委員の中から互選する。

2 会長は,会務を総理する。

3 副会長は,会長を補佐し,会長に事故があるときは,その職務を代理する。

(会議)

第27条 審議会は,会長が招集し,会長が議長となる。

2 審議会は,委員の過半数が出席しなければ,会議を開くことができない。

3 審議会の議事は,出席委員の過半数で決し,可否同数のときは,議長の決するところによる。

(部会)

第28条 審議会は,必要に応じて部会を置くことができる。

(庶務)

第29条 審議会の庶務は,教育委員会社会教育課にて処理する。

第6章 補則

(補則)

第30条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,村長が別に定める。

附 則

(施行期日)

この条例は,平成17年4月1日から施行する。

松川村男女共同参画推進条例

平成17年3月10日 条例第2号

(平成17年4月1日施行)